★AとBの二つのプログラムがあります。
豊島は、高松市から船で30分の瀬戸内海に浮かぶ島。ここに暮らす人々の多くは高齢ですが、豊かさと不便さ、悲しみと喜びの歴史が共存するこの島に今も暮らし続けています。この豊島に寄り添うようにたたずむのが小豊島。自ら舟を造らなければ海を渡ることができなかった多島海の環境条件が、この島の文化と文明を形づくっています。いっけん四方を海に囲まれて孤立しているように見える島々も、そこに暮らす人々も、実は一つの海によってつながっています。島を一つの社会として捉えたとき、このつながりは何を意味するのでしょうか。2つの島を渡り、それぞれの島に暮らす人それぞれの生き様を知り、それぞれの島に暮らす人それぞれが話し始める言葉に触れながら過ごす時間。それは、他でもなく僕ら自身の生き様や、他者との関係性を見つめなおし、新たな希望と出会う時間になるかもしれません。
■プログラム1 『小豊島の舟大工を訪ねる』
小さな舟をつくり、少し大きな島に渡る。少し大きな木を手に入れて、少し大きな舟をつくる。少し大きな舟は、航海の距離を伸ばし、珍しい食べ物や、知らなかった文化、新しい技術に触れる機会をもたらし、さらに高まる舟大工の技が小豊島の人たちを潤して来ました。人を乗せ、島の未来を乗せて、沈まないように。まっすぐな願いを込めてつくられる舟には、いつのころからか舟の守り神として「舟魂さん(ふなだまさん)」を仕込むようになりました。そこへ貨幣経済の加速。自らが生まれ育った島に対する思いよりも、家族の明日を憂う気持ちが大きくなり始めた人たちは、島の安泰を祈って舟大工がつくった舟に乗って海を渡り、島を離れて行ったのです。現在、島に残る舟大工は竹内さん、お一人。竹内さんが語る言葉には、社会としての島の盛衰と、それでもかわらない人の思いを感じることができます。竹内さんの心意気に触れたら、竹内さんに指導頂きながら、僕ら一人ひとりの「舟魂さん」をつくります。いつか僕らが自分の舟をもったとき、その舟が沈ます変わらず希望を運び続けられるように。
<先生:小豊島の舟大工 竹内初男さん>
■プログラム2 『豊島に暮らす人たちと語らう』
小豊島から豊島へ渡り、夕日の多島海を眺めながらお酒と夕飯を楽しんだ後は、この島に暮らすおじいちゃん、おばあちゃんたちと語らいます。島の中部に高い山を抱く豊島には、豊富な水資源があり、それが農業、酪農業を潤す文字通り「豊かな島」です。その豊かさは、たくさんの人たちを迎え入れて交ぜ合い、多様な風習を育み、この島独特の文化となって今も息づいています。島に生まれ育ったおじいちゃん、おばあちゃんたちが話してくれる言葉の一つ一つに耳を傾ければ、同じ日本に暮らす僕らがまだ知らない慣習や考え方に触れられ、僕らもまた列島に暮らす島の住人なのだと再認識させられます。
<先生:豊島のおじいちゃん、おばあちゃん>
■プログラム3 『産業廃棄物不法投棄現場を訪ねる』
生産され消費され、廃棄される産業廃棄物。引き取り先のなかったそれは島に渡り、島を苦しめ、その深い悲しみが島の住人を立ち上がらせました。現在、豊島では大量に不法投棄された産業廃棄物が掘り起こされ、隣の島・直島で最終処理が行われています。大きな島からゴミがきて、それに悩み、強くなり、隣の島に助けられながら再生を果たして行く。島と島の関係性は、国と国の関係性であり、僕ら一人ひとりの関係性にも通じていきます。
面積が小さく人口の少ない島では、時間の流れの早回しが起こり、深刻な少子高齢化や産業のヒズミの影響を早い段階に受けました。だからこそ島は、未来への希望の種がどこよりも早く芽吹く可能性を秘めています。海を通じて他の島とつながり、海を通じて様々なものが出入りするのが島。私たちも、その大きな循環の一部となって身を委ねることで、未来への希望のヒントを、感じ取れるかもしれません。
<先生:廃棄物対策豊島住民会議元議長 砂川三男さん>
■プログラム4 『それぞれの経験を共有する』
同じ時間、同じ瀬戸内の多島海を旅していた僕らが一堂に会し、お互いが島々で経験した意識の変化や知識、思いを交流し共有します。それは、次に旅する島を探す時間。
■施設紹介
【体験の場 竹内さんの舟小屋】
小豊島の舟大工である竹内さんの舟小屋。木造舟を造るための道具の整備は行き届き、職人の手に取られるのをじっと待っている。
【体験の場 bar de HITAKI】
豊島・家浦港を見渡す水辺にたたずむ小さなバール。「HITAKI(ひたき)」とは、カヤックの女神様の名前。多島海の夕暮れと夕食を楽しみ、おじいちゃん、おばあちゃんと語り合う。
【体験の場 豊島産業廃棄物不法投棄現場「心の資料館」】
不法投棄業者が作業員の休憩所および事務所として使用していた建物をそのまま活用し、豊島住民手作りの資料館として公開している建物。シュレッダーダストの断面や、500人あまりの当時の反対運動参加者名簿、全国から寄せられた何十万通もの署名など、生きた資料がところせましとならぶ。ここで、住民会議元議長の砂川さんが時に淡々と時に切々と語る「豊島事件の経緯」に胸が熱くなり涙する人は後を絶たない。
■スケジュール
【当日の流れ】
<1日目:11月21日(土)> 朝:× 昼:○ 夜:○
10:30 JR高松駅 コンコース内「DAITEMMAI」彫刻前 集合
※改札口を出て、正面出口に向かってまっすぐ歩いてください。
出口前に巨大な石の彫刻があります。
10:40 高松港旅客ターミナルビルへ移動 オリエンテーション
11:00 高松港発 海上タクシー 乗船
11:30 豊島家浦港寄港
島のお弁当を持って小豊島へ
12:00 小豊島到着
12:00 プログラム1 『小豊島の舟大工を訪ねる』 開始
挨拶、自己紹介、竹内さんと昼ごはんを食べながらお話し
13:30 「船魂さん(ふなだまさん)」を作る
15:00 野点をしたりのんびりする
16:00 小豊島発 海上タクシー乗船
16:30 家浦港「bar de HITAKI」 に到着
16:30〜18:30 「bar de HITAKI」で多島海の夕暮れを見ながら夕食
19:00〜21:00 プログラム2 『豊島に暮らす人たちと語らう』 開始
21:00 「bar de HITAKI」 出発
21:15 宿泊施設「ブワナアユ甲生別邸」 到着
21:30 入浴・就寝(任意)
<2日目:11月22日(日)> 朝:○ 昼:○ 夜:○
08:00 起床
09:00 朝食
10:00〜12:00 自由行動
12:00 宿泊施設 出発
12:10〜13:00 昼食 家浦港のイートイン惣菜店「うらら」にて
14:00 家浦港 出発
14:00〜16:00 プログラム3 『産業廃棄物不法投棄現場を訪ねる』 開始
16:30 産業廃棄物不法投棄現場 出発
16:45 宿泊施設「アモーレテシマリゾート」 到着
17:00〜18:00 入浴、発表準備
18:00 プログラム4 『それぞれの経験を共有する』 開始
19:00 夕飯/交流会
21:00 入浴・就寝(任意)
<3日目:11月23日(月)> 朝:○ 昼:× 夜:×
07:30 起床
08:00 朝食
09:00 宿泊施設 出発
09:30 豊島家浦港にて解散
※高松港行き直島経由の船(豊島家浦港発)「8時20分、13時50分」
※高松港行きの船(豊島家浦港発)「7時5分、17時20分」
※小豆島土庄行きの船(豊島家浦港発)「7時25分、9時15分、11時50分、14時20分」
※高松空港行きのバス(高松駅発)『16時53分、16時56分、16時58分、17時38分』
※東京行きの空の便(高松空港発)『18時40分(ANA540)19時10分(JAL1414)』
【注意事項】
※1:高速艇、海上タクシー、ガソリン、食事(スケジュール中○印のあるもののみ)、宿泊、各種材料・体験の代金として、お一人あたり「35,000円」をご旅行代金として頂戴いたします。(初日の高松までの交通費及び最終日の豊島家浦港からの交通費は含まれません。)
※2:このコースは屋外での食事があります。ゴミを削減するために、できるだけマイカップとマイ箸をご持参ください。ご協力よろしくお願いします。
※3:2日目に行われる交流会の際のお飲物代(アルコール類、ソフトドリンク類)につきましては、上記1の代金には含まれておりません。当日アルコール類、ソフトドリンク類をご希望の方から「2,000円」、ソフトドリンク類のみご希望の方から「1,000円」を頂戴いたしますので、予めご了承ください。
※4:動きやすい服装、汚れてもよい靴、雨天時のための雨具(傘やレインコート)をご持参ください。海の上、夜間は冷え込みますので、防寒着をご持参されます事をお勧めいたします。
※5:宿泊施設は相部屋利用となります。タオル等の備え付けはございませんので各自にてご用意ください。トイレ・お風呂・洗面所は共同です。
※ 6:先生方がご高齢であることもあり、やむを得ない諸事情・天候によっては一部プログラムを変更の上、実施する場合があります。
※7:お申し込み頂いた方には、八栗観光より内容確認および振り込み案内のメールをさせていただきますので、メール到着より3日以内にご入金ください。
<ご注意>キャンセルの際は必ず八栗観光までご連絡いただきますようお願い申し上げます。
(八栗観光 TEL:087-845-0860 担当:薦田(こもだ)・繁本(しげもと))
※8:最小催行人数は5名以上とし、添乗員、バスガイドは乗務いたしません。
※9:お客様の個人情報はお客様との連絡のために利用させていただく他、お客様がお申し込みいただいた旅行において運送・宿泊機関などの提供するサービスの手配及び受領のための手続きに必要な範囲内で利用させていただきます。運送・宿泊機関などへの個人情報の提供について同意の上お申し込みください。
※ 10:やむを得ない事情でツアーを中止する場合があります。ご了承ください。
【お申し込み・お問い合せ先】
NPO法人アーキペラゴ
TEL:087−811−7707
MAIL:info@archipelago.or.jp
担当:片山(かたやま)
★お申し込みには、下記の記載事項の記載をお願いします。
【必要記載事項】下記項目を記載して送付ください。
●希望プログラム(AかB、Aの場合は3グループの内、いずれかを選択)
●お名前
●お名前(よみがな)
●メールアドレス
●〒
●住所(県名から)
●性別
●交流会飲み物(アルコール有か無か)
●連絡先電話番号
●年齢
●生年月日
■教室紹介
【豊島と小豊島】
豊島は、瀬戸内海の東部、小豆島の西3.7kmの海上にある島。中央部にそびえる壇山(340m)が最高点で海岸沿いと丘陵地に6集落がつくられている。豊島石の加工技術を基盤とした石材加工業が盛んで、また農・水産物の供給地としても重要な地位を占めている。わが国福祉界の草分け的存在である賀川豊彦が力を入れた福祉施設として乳児院、特別養護老人ホーム、精神薄弱者更生施設があり、「福祉の島」と呼ばれるゆえんとなっている。古来から稲作が盛んで豊かなことから豊島と名付けられたと言われる。昭和50年代後半から不法投棄された全国最大級の産業廃棄物問題が全国的な注目を集めていたが、平成12年に県と住民の間の公害調停が最終合意に達し、これをバネに新しい島づくりが動き出している。2010年の瀬戸内国際芸術祭の舞台となる島の一つ。
小豊島は、豊島の東、数百メートル沖に位置する小さな島。木造の舟をつくる舟大工が住み、その技術と文化が継承の危機を迎えている。
■先生紹介
竹内初男さん 舟大工
大阪で家大工を務めた後、お父上の後を継いで、小豊島に帰郷し船大工となる。造船にもっとも適した木材は「べんこう」と呼ばれる北九州地方で産出されるヒノキであるが、密度が高く硬度も十分で閼伽(水)漏れの心配が少ないこうしたヒノキや豊島産の松を使い、木の板に墨で設計図を書き、多くの船を豊島から生み出してこられた。
豊島のおじいちゃん、おばあちゃん
豊島に生まれ、豊島で育ち、今も豊島に暮らす方たち。
島の歴史を自らの人生として体験してきた偉大なる先人。
砂川三男さん 廃棄物対策豊島住民会議元議長
香川県生まれ。1975年の豊島産業廃棄物不法投棄事件勃発時より島民の先頭に立って長年行政の厚い壁と戦い抜き、最終合意に導いた長老の一人。産廃問題の最後の糸口を暗中で掴むために、「無謀だ」といわれた県議選に、命がけで石井とおる氏を擁立した勝手連の首謀メンバーでもある。現在も、一人でも多くの人に豊島のことを知ってもらおうと「枕から頭が離れている間はみんなの役に立ちたい」と産廃見学ツアーのガイドを献身的に引き受ける。島の生き仏。今年81歳。
今回の教室:「瀬戸内の多島海」
住所:香川県
瀬戸内海は世界につながる海。そこに浮かんだ「日本列島」の中で、四番目に大きな島「四国」。その北東部に位置する半島「香川県」の北に広がる内海(うちうみ)には、実に116の島々が点在し、そこは今も住民の生活の舞台。長い歴史の中で、お互いがお互いを理解し合いながら、海を渡る船を通じてつながることで、共に生きていくための「多島海社会アーキペラゴ」は生まれました。それぞれの島には、それぞれの事情があり、それぞれの悩みがあり、ぞれぞれの魅力があります。良いことも悪いことも、海を通じてやって来て、また海へと旅立っていく。その全てを受け止めながら、よどみなく生活は続いていく。強くてもろいバランスの上にかたちづくられたネットワークのイメージ。それはまるで、人と人、国と国の関係性にも似ています。